Chapter.9 会いたい気持ちに、突き動かされて

会いたい気持ちに、突き動かされて 未分類

彼女への気持ちを自覚してから、私は自分でも驚くほど強く、彼女に会いたいと思うようになりました。

会っていない時間にも彼女のことを考え、仕事をしていても気持ちをうまく切り替えられない。これまでの私にはなかった感覚でした。

ある日の昼休み、彼女とメッセージを交わしていました。

何気ないやり取りだったと思います。しかし、話しているうちに、次第に彼女に会いたいという気持ちが強くなっていきました。

その日の出勤状況を確認すると、まだ予約が入っていない時間があることが分かりました。

今なら会いに行ける。

そう分かってしまった瞬間、気持ちは一気に彼女の方へ傾きました。

午前中から会いに行くと決めていたわけではありません。それまでは普段どおり仕事をしていたはずです。

それなのに、会えると分かった途端、もう気持ちを抑えることができませんでした。

私は初めて、普段よりもずっと長い時間の予約を入れました。

そして、体調が悪いことを理由に会社を早退しました。

今振り返っても、あまり私らしくない行動です。

仕事を途中で切り上げてまで会いに行く。これまでの自分なら、まずしなかったはずです。

それでも、そのときの私は、正しさよりも彼女に会いたいという気持ちを優先してしまいました。

彼女には、半日休暇を取ってきたと伝えました。

早退したと正直に話せば、心配をかけてしまうかもしれない。そんな気持ちもありました。

けれど、理由はそれだけではありませんでした。

自分の行動に後ろめたさがあり、それを彼女に知られたくなかったのでしょう。

予約した時間が長かったため、お店の方からは、外出せずに過ごしても大丈夫かと確認されました。

長い時間を同じ場所で過ごすとなれば、普通は話が続くのか、お互い負担にならないかと心配されるのでしょう。

それでも私は、彼女となら大丈夫だとなんの根拠もなく自信がありました。

実際、その日はずっと同じ場所で過ごしましたが、時間を持て余したという記憶はありません。

特別なことをし続けていたわけではなく、いつものようにいろいろな話をしました。

ただ彼女と長く一緒にいられることが、何より嬉しかったのです。

気がつけば、長いと思っていたはずの時間は過ぎていました。

初めてこれほど長く彼女と過ごせた満足感は、大きなものでした。

その一方で、会社を早退したことへの罪悪感も残りました。

家族には普段どおり仕事を終えたように振る舞い、いつもの時間に帰宅しました。

彼女に会えた喜び。

仕事を途中で抜けた後ろめたさ。

家族にも本当のことを言えない罪悪感。

いくつもの感情を抱えたまま、その日は終わりました。

自分でも驚くような行動をしたことに、少し怖さを感じていました。

それでも、後悔だけが残ったわけではありませんでした。

むしろ、会いたいという気持ちに従い、彼女と長い時間を過ごせた満足感の方が大きかったように思います。

気持ちに突き動かされるまま、それまでの自分なら選ばなかった行動を取る。

好きになるということが、これほど人を変えるものだとは知りませんでした。

一度入った感情のスイッチは、もはや私の心の中だけにとどまらず、はっきりと行動に表れ始めていました。

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