Chapter.10 初めて、店の外で会った日

初めて、店の外で会った日 未分類

彼女への気持ちが強くなるにつれて、私は店の中だけではなく、外でも一緒に過ごしてみたいと思うようになりました。

彼女と二人で食事をしてみたい。

そう思っても、すぐに誘えたわけではありません。夜の仕事をする女性と店の外で食事をした経験はなく、どのように誘えばよいのかも分かりませんでした。

仕事の延長として誘えばよいのだろうか。迷惑に思われないだろうか。断られたら、その後は気まずくならないだろうか。

いろいろ考えながらも、私は思い切って、以前彼女が話していたお気に入りのお店へ一緒に行かないかと誘いました。

彼女はすぐに、

「行こう、行こう! お店には言わなくていいから!」

と、明るく答えてくれました。

あまりにもすんなり返事をもらえたので、少し拍子抜けしました。同時に、心の中では飛び上がりたいほど嬉しかったことを覚えています。

後日、会社を終えた私は、予約したレストランの前で彼女を待っていました。

その日は店を通さず、仕事の予約もない、食事だけの約束でした。いつもとは違う形で彼女を待っていることが、何とも不思議に感じられました。

現れた彼女は、普段会うときよりも少し気合いの入った服装に見えました。

私との食事のために選んでくれたのかもしれない。

そう思うだけで嬉しくなり、彼女の姿を見た瞬間に、また好きになったような気持ちになりました。

二人で並んで歩いていると、見た目にも年齢差のある私たちが、周囲からどのような関係に見えているのか気になりました。嬉しいはずなのに、少し小恥ずかしく、彼女との距離が近くなりすぎないよう接し方にも気を遣っていました。

けれど、席に着いて食事が始まると、そんな緊張も次第に薄れていきました。

彼女は美味しいものを素直に美味しいと表現しました。嬉しそうに料理を食べる姿を見ていると、こちらまで嬉しくなります。

食事をしながら、彼女は学生時代のことを中心に、それまであまり聞いたことのなかった話をしてくれました。今の彼女しか知らなかった私にとって、過去の話を聞けることは、彼女という人をもう少し深く知ることでもありました。

その会話の中で、彼女はふと、

「お客さんに、ここまで自分のことを話したことはない」

と口にしました。

当時の私は、その言葉を素直に受け取ってよいのか分かりませんでした。私を信頼してくれているのか、それとも喜ばせるために言ってくれただけなのか。夜の仕事をする彼女と接していると、どこまでが本当の気持ちなのか、自信を持てなくなることがありました。

けれど、彼女のことを以前より知った今では、あの言葉は本心だったのだと思えます。誰にでも簡単に自分の内側を見せる人ではなかったからこそ、あの日に話してくれたことには意味があったのでしょう。

食事を終えた帰り道、私の中には純粋な満足感が残っていました。

彼女が楽しそうに笑ってくれた。私の知らなかったことを話してくれた。そして、仕事ではない時間を二人で過ごせた。

初めて店の外で会ったその日は、彼女との距離が少し近づいたように感じられた、忘れられない時間になりました。

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