Chapter.7 初めての陽性、そのとき見えたもの

初めての陽性、そのとき見えたもの 未分類

彼女と頻繁に会うようになっていた頃、身体に少し気になる違和感がありました。

場所が場所だけに多少の不安はありましたが、痛みが強いわけでもなく、その時点では病気だとまでは考えていませんでした。

そんな折、彼女から思いがけないことを告げられました。

仕事柄、彼女は毎月のように検査を受けていました。その検査で、ある感染症の陽性反応が出たというのです。

病名はここでは伏せますが、夜の世界では珍しいものではなく、抗生物質による治療で比較的早く治る感染症でした。

彼女は、感染を広げてはいけないから正直に伝える、と話してくれました。

伝えづらい内容だったはずです。それでも隠さずに話してくれたことが、私は素直に嬉しかったのです。

そして、きちんと伝えようとする彼女を誠実な人だと思いました。

夜のお遊び自体は長かったものの、性感染症にかかった経験は、それまで一度もありませんでした。

もしかすると、自分も感染しているのではないか。

そう思うと、やはり少しショックでした。一方で、ついに自分にもこういうことが起きたのかと、妙に冷静な気持ちもありました。

不謹慎かもしれませんが、どこか一つ大人になったような気分さえありました。

もちろん、感染源が彼女だったとは限りません。

当時の私は、わずかではあるものの、彼女以外の女性とも遊ぶことがありました。自分から彼女へ感染させた可能性も否定できず、そのことには少し罪悪感がありました。

誰から誰へという答えは、結局分かりません。

それでも彼女は私を責めませんでした。

それどころか、頻繁に会っていた私も感染している可能性が高いと考え、治療に必要なことまで気にかけてくれていました。

彼女からすれば、感染を広げないために必要な対応だったのでしょう。

それでも私には、自分のことまで考えて動いてくれたことが嬉しく感じられました。

彼女は、よくある病気だから治療すれば大丈夫だと話してくれました。その言葉に少し安心しながらも、私は後日、自分でも病院へ行きました。

検査を受けた結果、彼女と同じ感染症にかかっていることが確認されました。

初めての経験に驚きはありましたが、不思議と彼女に対する怒りはありませんでした。

むしろ心に残ったのは、陽性だったという事実よりも、それを正直に伝えてくれたこと。そして、私のことまで考えて動いてくれたことでした。

今振り返れば、それは彼女にとって当然の責任感だったと思います。

仕事を続けるうえで感染を広げないことは大切ですし、私だけが特別だったと決めつけることもできません。

それでも当時の私は、自分のためにも動いてくれたことに、特別なものを感じました。

彼女との距離が少しずつ近づく中で、この出来事を通して、私は彼女の誠実さと気遣いに触れました。

病気になったこと自体は、決して喜ばしい出来事ではありません。

けれど、彼女が隠さず向き合ってくれたことで、私の中にあった彼女への信頼は、むしろ深まっていきました。

そして、自分のことまで考えて動いてくれたという感覚は、その後、私の気持ちを大きく動かす一つのきっかけになったのです。

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